みんなで語る「ゆるし」の場

感情的になった後、すぐにごめんねが言えない時:時間をおく選択と、後から伝える大切なこと

Tags: 謝罪, ごめんね, 感情コントロール, 罪悪感, 育児悩み

感情的になった後、すぐに「ごめんね」が言えないと感じる時

子供につい感情的に接してしまい、後から深く後悔する。そのような経験は、多くの保護者の方が一度は通る道かもしれません。カッとなって強い口調で叱ってしまったり、子供の気持ちを十分に聞かずに決めつけてしまったり。そして、冷静になった後に押し寄せる罪悪感に胸が締め付けられる思いを抱える方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「すぐに子供に謝りたい」「でも、どう謝ればいいのか分からない」「まだ感情が落ち着かない」「恥ずかしい気持ちがある」...。そうした様々な思いが交錯し、すぐに子供に「ごめんね」と伝えることが難しく感じられることもあるかもしれません。

なぜ、すぐに謝るのが難しいと感じるのでしょうか?

感情的になった後、すぐに謝罪の言葉が出にくいと感じる背景には、いくつかの理由が考えられます。

一つは、ご自身の感情がまだ十分に整理できていないということです。怒りや苛立ち、そして後悔や罪悪感といった複雑な感情が渦巻いている中で、冷静に状況を把握し、子供の気持ちに寄り添った言葉を選ぶことは容易ではありません。

また、謝罪することへの抵抗感や、保護者として完璧でなければならないという無意識のプレッシャーがある場合もあります。「親なのに謝るなんて」「謝ったら威厳がなくなるのではないか」といった考えが頭をよぎることもあるかもしれません。

さらに、どのように言葉を選べば子供に真意が伝わるのか、子供がどう反応するのかといった不安から、一歩踏み出すことをためらってしまうこともあるでしょう。

時間をおくことは「逃げ」ではありません

すぐに「ごめんね」と言えないことは、決して責められるべきことではありません。むしろ、感情が波立っている中で無理に言葉を出すよりも、一度立ち止まり、ご自身の心と向き合う時間を持つことは、誠実な謝罪のために必要なプロセスであると捉えることもできます。

時間をおくことで、感情を整理し、なぜ感情的になってしまったのか、そして子供にどう伝えたかったのか、あるいは伝えられなかったのかを冷静に振り返ることができます。また、子供も感情を落ち着かせる時間が必要な場合があります。すぐに謝罪されたとしても、まだ混乱していたり、傷ついた気持ちが癒えていなかったりすることもあります。

時間をおくという選択は、謝罪から逃げるのではなく、より心を込めて、子供に寄り添った形で「ごめんね」を伝えるための準備期間となり得るのです。

時間をおいた後で、心を通わせる謝罪を伝えるために

では、感情が落ち着き、謝罪の気持ちが固まったら、どのように子供に伝えれば良いのでしょうか。時間をおいた後の謝罪は、すぐに伝えるのとは異なる配慮が必要になる場合があります。

タイミングを選ぶ

子供が落ち着いていて、話を聞ける状態の時を選びましょう。遊びに夢中になっている時や、別のことで機嫌が悪くなっている時などは避けた方が良いかもしれません。穏やかな雰囲気で、子供と向き合えるタイミングを探してください。

言葉を選び、具体的に伝える

単に「ごめんね」と言うだけでなく、何に対して謝っているのかを具体的に伝えましょう。「さっき、엄마(お母さん)/パパはカッとなって、あなたの話をちゃんと聞かずに強い声を出してしまいました。怖かったよね、嫌な気持ちになったよね。本当にごめんなさい。」のように、自分のどのような言動が、子供にどのような気持ちにさせてしまったかを具体的に伝えることで、謝罪の気持ちがより伝わりやすくなります。

ご自身の気持ちを伝える

感情的になってしまった背景にある、ご自身の正直な気持ちを伝えることも有効です。「엄마も疲れていて、心に余裕がありませんでした」「どうしたらいいか分からなくなって、つい声を荒げてしまいました」など、自己弁護ではなく、ご自身の状態や気持ちを正直に話すことで、子供は保護者も完璧ではない一人の人間であることを理解し、共感する機会を得るかもしれません。

子供の反応を受け止める

謝罪に対して、子供がすぐに許してくれないこともあります。怒っていたり、拗ねていたり、何も反応しなかったり。どのような反応であっても、その子供の気持ちを否定せず、「まだ怒っているんだね」「話したくない気持ちなんだね」と、まずはそのまま受け止める姿勢が大切です。すぐに許しを強要せず、子供が自分の気持ちを表現できる安心できる場であることを示しましょう。

言葉だけでなく、態度でも示す

落ち着いたトーンで話す、子供の目を見て話す、そばに静かに座るなど、言葉以外の非言語的な表現も大切です。子供は保護者の態度から、誠実さや反省の気持ちを感じ取ります。

謝罪の後に大切なこと:関係性の再構築

謝罪は、そこで終わりではありません。むしろ、より良い親子関係を築くための始まりと捉えることができます。謝罪の後には、信頼関係を再構築するための日々の関わりが重要になります。

子供の気持ちにこれまで以上に耳を傾ける、子供が安心して感情を表現できる場を作る、次に同じような状況になりそうになったらどうするかを一緒に考える(年齢に応じて)など、具体的な行動を通して、子供への愛情と尊重の気持ちを示し続けることが大切です。

完璧な保護者はいません

感情的に子供に接してしまうこと、そしてすぐに謝ることが難しいと感じることは、多くの保護者の方が経験する、ごく自然な葛藤です。完璧な保護者を目指すのではなく、感情的になってしまった自分を受け入れ、子供との関係性を大切にしたいという気持ちを原動力に、誠実に向き合う姿勢こそが尊いのではないでしょうか。

時間はかかっても、心を込めて伝えられた「ごめんね」は、きっと子供の心に届くはずです。そして、そのプロセスは、保護者自身の成長にも繋がっていくでしょう。

この「みんなで語る「ゆるし」の場」が、そのような保護者の皆様の支えとなり、経験や知恵を共有し、共に学び合う場となることを願っています。一人で抱え込まず、様々な保護者の方の経験談も参考にしながら、あなた自身と、あなたのお子さんにとって最善の「ゆるし」の形を見つけていくヒントとなれば幸いです。